理事長挨拶

理事長より、みなさまへご挨拶です。

高度で均一なレベルの医療を広く提供

超高齢化社会を迎え健康寿命が重視されてきていますが、脊椎脊髄疾患は生活の質(Quality of Life)を著しく低下させ健康寿命を制限する一つの重要な要因となっています。また高齢者に関わらず、脊椎脊髄は運動器の根幹をなすものです。これに伴う機能障害を回避するために尽力することは、これに携わる医師にとっての最大の責務であり、高齢化により社会のニーズが益々高くなってきていると認識しております。

このたび大阪大学整形外科の脊椎脊髄グループが中心となって、特定非営利活動法人(NPO法人)大阪脊椎脊髄グループ(Osaka spine & spinal cord research group: OSSG)を設立させていただくことになりました。本NPO法人は、脊椎脊髄疾患医療に携わる医師並びに医療関係者または脊椎脊髄疾患医療に関心のある一般市民に対して、脊椎脊髄疾患に関わる診断や治療についての基礎医学研究、臨床医学研究及び大規模疫学研究等を通じて、正確で有用な知識を提供する事業を行い、高度で均一なレベルの医療が広く提供されることに寄与することを目的としております。

この目的のために、重要な活動のひとつとして、まず脊椎脊髄疾患に関わる高いレベルの専門医を養成するための援助を行います。幅広い知識や的確な診断を下せる能力を身につけるための教育の機会や、多様となっている手術に対し手術技術だけでなくこれに伴う安全性対策を実施できる能力を習得するトレーニングの機会を提供することがその活動の柱となります。 脊椎脊髄疾患に対する医療の質をあげるには臨床研究も不可欠です。OSSGでは多施設共同研究に注力します。これまでのような単一施設の研究だけではエビデンスを得るために必要な症例数が得られず、適切な結論まで導けなかった可能性があります。そのため、OSSGでは公平性を担保する多施設臨床研究を推進し、正確で有用な知見の提供を目指します。 また、脊椎脊髄疾患に対する正しい知識、新しい知見や治療技術を患者様やそのご家族にお伝えすることもOSSGの重要な役割のひとつと考えています。多種多様な情報が様々なメディアを通じて簡単に得られる社会状況を鑑みると、脊椎脊髄疾患に携わる現場の医療人から正しい情報を提供することが必要です。これは主に市民公開講座事業を通じて行います。

本NPO法人の設立の趣旨にできるだけ多くの方々にご賛同いただき、長きにわたりご支援を賜りますようお願い申し上げます。

理事長 小田 剛紀